粉末系消化剤とは【万能だがデメリットもある】

粉末系消火器とは

粉末系消化器とは、最も一般的な消化器である。レバーを握ると粉末が噴射され、消火を行う。粉末には「りん酸塩類」と「炭酸水素塩類」がある。

りん酸塩類

りん酸アンモニウムに防湿処理をした消火剤である。冷却効果、抑制効果、窒息効果があり、普通火災、油火災、電気火災全てに適用できる。

りん酸アンモニウムを主成分とする消火剤は、普通火災(A火災)、油火災(B火災)、電気火災(C火災)に適用できるため、「ABC消火器」と呼ばれる。

炭酸水素塩類

炭酸水素カリウムに防湿処理をした消火剤である。

抑制効果と窒息効果により消火を行う。

油火災、電気火災に適用できる。

消化能力が不十分なため普通火災には不向きである。

油火災(B火災)と電気火災(C火災)に適用できるため、BC消火器と呼ばれる。

粉末消火器のデメリット

粉末消火器のデメリットは「粉末を噴射すること」である。

具体的には2つのデメリットがある。

1つめは「粉末を噴射することで、著しい汚損が発生する」という点である。美術館や博物館など汚損が好ましくない状況で粉末消火器を使うと、消火剤による被害が発生してしまう。もちろん、火災による被害を最小にするためことが最も大切なので、各施設等で設置する消火器をケースバイケースで判断している。

2つめは「粉末を噴射することで、視界が妨げられる」という点である。粉末消火器は、使用すると大量の粉体が放出され前が見えない状況になる。屋外であれば粉末がすぐに希釈され視界が回復する。しかし、密閉された空間では粉体が気中を漂い続け「消火剤によって前が見えない」という状況が発生してしまう。そのような環境では、「粉末系」ではなく「水系」の消火器を設置する。