自然発火とは【時間が経つと自ら発火】

○自然発火とは

自然発火とは、常温において物質が空気中で自然に発熱し、その熱が長期間蓄積され発火点に達し、ついには燃焼する現象である。

自然発火の原因の種類は、「酸化熱」「分解熱」「吸着熱」「微生物による発熱」等がある。

○酸化熱

酸化熱とは、酸化反応に伴って発生する熱である。酸化熱によって発熱する物質として、「乾性油」「原綿」「石炭」がある。

【乾性油】

乾性油とはリノール酸などの不飽和度の高い脂肪酸を含み、空気にふれると酸化されて乾き、固まる性質をもつ油である。ペンキ・印刷インク・油絵の具などの溶剤に用いる。

【原綿(げんめん)】

原綿とは、綿繰り車にかけて種を取り去っただけで精製していない綿である。綿糸の原料となる。

○分解熱

分解熱とは、化合物が成分元素に分解することによって発熱する反応熱である。分解熱によって発熱する物質の代表物として「セルロイド」や「ニトロセルロース」がある。

【セルロイド】

セルロイドとは、硝酸セルロース約75%に樟脳約25%を加え練ったプラスチックである。以前は玩具や文房具などに広く使われていたが、引火しやすいため他の合成樹脂にとって代わられた。

【ニトロセルロース(硝酸セルロース)】

セルロースを混酸で処理してつくる硝酸化合物である。フィルムや塗料などの原料として使用される。極めて燃えやすい。

○吸着熱とは

吸着熱とは、固体の表面に気体が吸着される時に発生する熱のことである。人間が汗をかいた時に、汗が蒸発する際に熱を奪う現象を「気化熱」というが、「吸着熱」は「気化熱」の逆である。

【活性炭】

活性炭とは、多孔質にすることで吸着性を高めた炭素である。吸着剤として使用される。吸着性が高いので、吸着熱が発生しやすい。

【木炭粉末】

粉末状の木炭であり、美容や消臭材として使用される。吸着性を高めているので、吸着熱が発生しやすい。

○微生物による発熱とは

微生物による発熱とは、発酵による発熱である。【たい肥】や【ゴミ】が微生物によって発酵された時に発熱することがある。東日本大震災の時に発生した瓦礫置き場で、発酵作用による熱が原因で火災が相次いで発生したと言われている。