硫化水素による健康障害【粘膜刺激症状】

硫化水素とは

 硫化水素とは、硫黄と水素の無機化合物である。化学式はH₂Sである。無色の気体で腐乱臭が特徴である。腐乱臭を「硫黄臭い」と表現することがあるが、硫黄は無臭であり、硫化水素が腐乱臭の原因である。

硫化水素の発生場所

 し尿、汚水、汚泥、魚のあら、火山、温泉の源泉などから発生する。

硫化水素の規制

特定化学物質障害予防規則

 特定化学物質障害予防規則とは、化学物質による労働者のがん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を予防するために、作業方法・作業環境の整備、健康管理の徹底等について定めた法律である。

 硫化水素は対象物質であり、第二類物質に定められている。

大気汚染防止法

 大気汚染防止法とは、ばい煙排出者に対して排出基準に適合しないばい煙の排出を禁止し、国民の健康の保護と生活環境の保全を目的とした法律である。ばい煙とは、煙とすすのことである。

 硫化水素は特定物質に指定されている。

第二種酸素欠乏作業

 酸素欠乏症の恐れのみの場合は第一種酸素欠乏作業であり、酸素欠乏症と硫化水素中毒の両方の恐れがある場合は第二種酸素欠乏危険作業となる。

硫化水素の健康障害

 硫化水素の健康障害は、硫化水素中毒がある。低濃度では眼や気道の粘膜刺激症状が生じる。高濃度では脳細胞が障害され、意識消失、呼吸麻痺、肺水腫による窒息死の危険がある。