水銀とは【錬金術で活躍】

○水銀(Hg)とは
 水銀は原子番号80の元素であり、常温で液体である唯一の金属である。元素記号はHgである。土壌吸着性は高いが、水溶解性は低い。

○水銀利用の歴史
 水銀は約2万年前には洞窟絵画の顔料として利用されている。水銀の「朱色」は、古くから顔料や化粧品として利用されていた。

○錬金術と水銀
 金を作り出す「錬金術」において、水銀は特別な役割があると考えられていた。それは、水銀が常温で液体である特別な物質だからである。水銀が他の物質とどのような化学反応を示すかに注目が集まった。

○薬品としての水銀
 水銀は古くは薬として使われていたが、それは水銀の毒性を利用した殺菌作用である。劣悪な衛生状態の中では消毒剤として活躍したが、過剰に摂取すると中毒症状を引き起こす。

○ニュートンと水銀
 「万有引力」で有名なニュートンは、錬金術の研究を行っており、水銀による中毒を起こしていたと考えられる。ニュートンは赤い色を好み、硫黄と水銀から生成されるバーミリオンで部屋を塗り、水銀に囲まれて過ごしていたと言われている。

○工業の中での水銀
 水銀は「常温で液体」「電子移動を起こしやすい」「強い化学結合」という特徴から、現在も様々な用途で利用されている。また、「ガラスとくっつかない」「比重が大きい」「温度による体積変化が安定している」という特徴から、温度計に利用されている。