必須科目過去問の解説と考察【建設部門H28-2】

技術士第二次試験建設部門の必須科目の解説・考察を行う。

平成28年度技術士第二次試験問題【建設部門】
2.我が国の社会資本の整備に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 幹線道路の整備は、昭和29年に策定された第1次道路整備五箇年計画以来、現在に至るまで着実に進められてきた。一方で、欧米において高速道路は平均4車線以上であるのに対し、日本は片側1車線が5割以上を占めている。
  2. ETCは今や日本全国の高速道路及び多くの有料道路で利用可能であり、車載器の新規セットアップ累計台数は平成26年9月時点では4千万台を超えており、全国の高速道路での利用率は約9割になっている。
  3. 中央新幹線については、「全国新幹線鉄道整備法」に基づき、国土交通大臣が営業体及び建設主体としてJR東海とJR西日本を指名し、東京・博多間について、整備計画の決定並びに建設の支持を行った。
  4. 下水道処理人口普及率は、平成25年度末において全国で9割に達しているものの、人口5万人未満の中小市町村における普及率は4割に満たない水準となっている(いずれも東日本大震災の影響により調査対象外とした福島県を除いた46都道府県の集計データ)
  5. 我が国のビジネス・観光両面における国際競争力を強化するため、我が国の成長のけん引車となる首都圏空港の機能強化を図っており、平成27年3月に羽田・成田両空港の年間合計発着枠200万回化を達成した。
○解答と解説
 最も適切なものは[2]である。ETC総合情報ポータルサイト「GO!ETC」にデータが記載してある。
・ETC2.0
 今までのETCの高速道路利用料金収受だけではなく、渋滞回避や安全運転支援といったドライバーに有益な情報を提供するサービスである。将来的には街中での駐車場の料金支払いや車両の入庫管理など多目的利用が推進されている。ETC2.0でサービスされる情報はITSスポットから車に自答的に送信される。情報はカーナビもしくはスマートホンで確認することができる。VICSもETC2.0の1つである。
○その他のキーワード
・第1次道路整備五箇年計画
 第二次大戦後の復興は鉄道中心で始められたが、産業構造の変化や工業の内陸への立地にともなってトラック輸送の重要性が増し道路整備への要求が高まった。そんな中、1954年に第1次道路整備五箇年計画が策定された。
・高速道路の車線数
 日本の高速道路の3割が3車線以下というデータがあるため、「日本は片側1車線が5割以上を占めている。」は誤りである。
・全国新幹線鉄道整備法
(目的)
第一条  この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。
・中央新幹線
 東京都を起点、大阪市を終点とする新幹線鉄道である。平成23年5月に決定された整備計画において、走行方式は超伝導磁気浮上方式(超伝導リニア)とし、最高速度は505キロメートル/時とすることが定められている。営業主体及び建設主体は「JR東海」である。
・下水道処理人口普及率
 環境省によると、平成27年度末の時点で人口5万人未満の中小市町村における普及率は77.5%となっている。
・年間合計発着枠
 羽田:約45万回
 成田:約30万回
で合計75万回である。
 発着枠とは、航空会社が滑走路を利用して空港へ離発着できる機会のことで、スロットともいう。空港には離発着できる回数に限度があるため、発着枠は国土交通省が航空会社に配分している。