必須科目過去問の解説と考察【建設部門H28-1】

技術士第二次試験建設部門の必須科目の解説・考察を行う。
平成28年度技術士第二次試験問題【建設部門】
1.我が国の現況に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 平成28年2月から適用されている全国の公共工事設計労務単価(全職種平均)は平成24年度と比較して3割以上上昇している。
  2. 平成26年に策定された「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」においては、官民挙げた目標として、女性技術者・技能者の5年以内の倍増を目指すこととされている。
  3. 平成27年版交通安全白書によると、平成26年における我が国の道路交通死亡事故発生件数は、道路形状別では交差点で発生したものが3割を超える。
  4. 平成26年の建設業における労働災害死亡者数は、事故の型別で建設機械などによるはさまれ・巻き込まれが約4割を占め最も多い。
  5. 日本政府観光局が平成28年1月に発表した平成27年の訪日外国人旅行者数は1900万人を超え、過去最高を記録した。

○解答と解説
 最も不適切なものは[4]である。建設業の労働災害で死亡者数が最も多い事故の型は「墜落・転落災害」である。割合は約4割を占める。建設機械等については例年1割前後である。過去5年を調べても例年ほぼ同様の割合である。情報源は「建設業労働災害防止協会(建災防)のホームページ」である。
○その他のキーワード
・公共工事設計労務単価
 公共工事の工事費の積算に用いられる単価である。 公共工事の発注に際し必要となる予定価格の決定にあたっては、「予算決算及び会計令」において、取引の実例価格、需給の状況等を考慮して適正に定めることとされている。これに基づき、農林水産省及び国土交通省では、公共工事の予定価格の積算に必要な公共工事設計労務単価を決定するため、所管する公共事業等に従事した建設労働者等に対する賃金の支払い実態を、昭和45年より毎年定期的に調査している。
  • 「基本給相当額」「基準内手当」「臨時給与(賞与等)」「実物給与(食事等の支給等)」で構成され、時間外手当や現場管理費は含まれない。
  • 「01 特殊作業員」~「51 交通誘導警備員B」まで地域ごとに定められている。
・もっと女性が活躍できる建設業行動計画
  •  「女性技術者・技能者を5年以内に倍増」が目標。平成26年現在、女性技術者1万人、女性技能者9万人であり、大手5社では新卒採用の約1割が女性。
  • 「入職促進」「就労継続」「更なる活躍とスキルアップの各段階で取組を進める」「女性の活躍の姿を広く社会に発信することにより、男性も含めた業界全体の職場環境の改善や意識変化を促し、更なる女性の活躍につながるという好循環に導く」とされている。
・道路交通死亡事故
 交通安全白書によると、交差点が35.7%、一般単路が32.6%、カーブが14.8%となっている。
・訪日外国人旅行者数
 平成28年は11月時点で2198万人となっており、過去最高をさらに更新している。