技術士第二次試験過去問考察【コンクリート部門、問3】

技術士第二次試験建設部門の記述式問題の考察を行う。今回は「0902 鋼構造及びコンクリート部門」の「コンクリート」問3についてである。

○考察結果
 各年度で出題されたテーマは以下のとおりである。時事的な問題であり、その時々の最先端の話題から出題されているように見える。付け焼き刃的な対策は困難であり、しっかりと考えて文章を書く能力が求められている。
「技術的課題」というキーワードは1級土木施工の記述式試験と同じである。
平成28年
・社会資本の長寿命化のための品質確保
・コンクリート構造物のライフサイクルにおいての二酸化炭素排出量削減
平成27年
・震災復興工事の遅れ
・社会資本の維持管理サイクルの確立
平成26年
・特定の地域・期間に需要が集中した場合の対策
・維持管理の負担軽減
平成25年
・生産性の向上
・コンクリート構造物の延命化
以下、過去問を記載する。
○過去問
問3.次の2問題のうち1問題を選び解答せよ。
【平成28年度】
・問3−3 ⇒社会資本の長寿命化のための品質確保
 限られた財源の中、建設総投資における社会ストックに対する維持管理費の比率が益々増加する傾向にある。その一方で、建設段階の初期欠陥による供用開始後の早期劣化や計画共用期間中の劣化現象が発生している。したがって、今後建設される社会資本は所定の品質が確保され、長期間共用できるものでなくてはならない。
(1)今後建設されるコンクリート構造物の品質を確保するために、検討すべき項目を多様な観点から記述せよ。
(2)上述した項目のうち、あながた重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あんたが掲示した解決策がもたらす硬化を具体的に示すともに、想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。
・問3ー4 ⇒コンクリート構造物のライフサイクルにおいての二酸化炭素排出量削減
 集中豪雨による土砂災害や河川の氾濫などが多発し、国民の安全安心の観点から地球的な気候変動がクローズアップされている。気候変動の要因として、地球温暖化に影響が大きい温室効果ガスが挙げられ、特に二酸化炭素排出量の削減が大きな課題となっている。建設分野から排出される二酸化炭素は全産業の2割を超える量と推定されている背景を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)建設分野で特にコンクリート構造物の建設から維持管理・解体に至るまでの二酸化炭素量削減を推進する上で、検討すべき項目を多様な観点から記述せよ。
(2)上述した検討すべき項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あなたが掲示した解決策のもたらす効果やメリットを具体的に示すとともに、想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。
【平成27年度】
・問3−3 ⇒震災復興工事の遅れ
 東日本大震災から4年以上が経過し、覆工事業が各地で進められているものの、入札不調、工事進捗や予算執行の問題等から復興工事の遅れが目立っている。このような中で、復興事業に影響のある社会的背景を考慮し、以下の問いに答えよ。
(1)復興工事が遅れている現状を踏まえ、特にコンクリート構造物の建設を加速する上で検討すべき項目を、建設分野に携わる技術者としてハード・ソフト両面の多様な観点から述べよ。
(2)上述した項目のうち、あながた重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あなたが掲示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。
・問3ー4 ⇒社会資本の維持管理サイクルの確立
 現在整備されている社会資本の多くは、整備の時期や各々が要する機能、設置環境が異なる他、劣化や損傷の状態も様々で時々刻々変化している、こうした既存ストックを今後有効に活用するためには、劣化や損傷といった変状を早期に発見・診断し、その結果に基づいて的確に対策を行い、これらの履歴等を記録して次の点検・診断に活用するという維持管理の業務サイクルの実施が必要となる。このような状況を考慮し、以下の問いに答えよ。
(1)コンクリート構造物において、維持管理の業務サイクルを実施するために検討すべき項目を、建設分野に携わる技術者として多様な観点から記述せよ。
(2)上述した項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あなたが掲示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、相対されるリスクやデメリットについて記述せよ。
【平成26年度】
・問3−3 ⇒特定の地域・期間に需要が集中した場合の対策
 近年、震災覆工事業の本格化や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う首都圏の社会資本の大規模更新など、特定の地域における建設需要の増大が見込まれている。一方、田の地域においては限られた財源の下で必要な社会資本を整備し、また、老朽化する他庁の社会資本にも適切に対処していく必要がある。このような条挙を考慮し、以下の問いに答えよ。
(1)上記のように特定地域・比較的短期間における急激な市場規模・市場構造の変化等に対応し、コンクリート構造物を建設していくために検討すべき項目をハード・ソフト両面の多様な観点から記述せよ。
(2)上述した検討すべき項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あなたの掲示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。
・問3ー4 ⇒維持管理の負担軽減
 高度成長期以降に集中的に整備され社会インフラは老朽化が進展し、維持管理上の問題が顕在化している。一方、これに関わる予算や労働力といった資源の投入は今後も困難なことが予想されている。このような状況を考慮し、以下の問いに答えよ。
(1)コンクリート構造物の維持管理の負担を軽減するため、検討すべき項目は多様な観点から記述せよ。ただし、地震などの災害による非常時の維持管理は含まないものとする。
(2)上述した検討すべき項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あなたの掲示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。
【平成25年度】
・問3−3 ⇒生産性の向上
 近年の建設投資の急激な減少に伴い、建設業界の就業者数は年々減少しており、また、就業者の高齢化や若年入職者の減少から、現場では生産性の低下が懸念されている。一方、今後増加する社会資本の大規模更新や震災復興事業の本格化に対応するためさらなる生産性の向上が求められている。このような状況を考慮して、以下の問いに答えよ。
(1)コンクリート構造物の建設において、生産性を向上するために検討すべき項目を多様な観点から記述せよ。
(2)上述した検討すべき項目のうち、あなたがコンクリートの技術士として重要であると考える技術的課題を1つ挙げm実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あなたの掲示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定されるリスクについて記述せよ。
・問3ー4 ⇒コンクリート構造物の延命化
 我が国の社会資本の多くは、高度経済成長期に整備され、今後、急速に社会資本の老朽化が進むことが予想されている。しかしながら、社会資本への大規模な投資を持続的に行うことは期待できない状況にある。このような状況を考慮して、以下の問いに答えよ。
(1)既存ストックとしてのコンクリート構造物の延命化を図るためにm検討すべき項目をハード・ソフト両面の多様な観点から記述せよ。
(2)上述した検討すべき項目のうち、あなたがコンクリートの技術士として重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ掲示せよ。
(3)あなたの掲示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定されるリスクについて記述せよ。