技術士第二次試験過去問考察【トンネル部門、問3】

技術士第二次試験建設部門の記述式問題の考察を行う。今回は「0909 トンネル部門」の問3についてである。

○考察結果
 各年度で出題されたテーマは
平成28年度:自然災害、品質確保
平成27年度:トンネルの長寿命化、労働力不足
平成26年度:技術継承、労働災害・公衆損害事故
平成25年度:トンネルの老朽化、工程管理
となっている。その時々の主要なテーマから出題されている印象である。平成29年度は「インフラの老朽化」「労働力不足」「労働生産性の向上」「I-Construction」あたりが出題される可能性が高いと予想する。
 以下過去問を記載する。
○過去問
問3.次の2問題のうち1問題を選び解答せよ。
【平成28年度】
・問3−1 ⇒自然災害
 様々な自然災害が頻発する我が国では、いかなる災害が発生しても機能不全に陥らないように既設及び新設の社会基盤に防災、減災対策を講じておくことは非常に重要である。近年発生した自然災害を踏まえ、建設部門の技術者として、以下の問いに答えよ。
(1)トンネルなどの地下構造物の防災、減災に関して検討すべき課題を多様な観点から述べよ。
(2)上述した検討すべき課題のうち、あながたと特に重要と考える課題を2つ挙げ、その解決のための具体的方策を述べよ。
(3)提案した方策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定される留意点について、あなたの考えをそれぞれ述べよ。
・問3−2 ⇒品質確保
 周辺環境や社会的要請が多様化、複雑化する中で、高品質な社会基盤の整備を進めることが重要である。しかし、近年、建設工事において、社会問題となっている「品質確保上の不具合」が生じて生きている現状を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)建設される構造物の品質を確保する上で、調査、設計、施工の各段階における検討すべき課題を多様な観点から述べよ。
(2)上述した検討すべき課題のうち、あなたが専門とするトンネル分野において、品質を確保するために特に重要と考える課題を2つ挙げ、その解決のための具体的な方策を述べよ。
(3)提案した方策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定される留意点についてあなたの考えをそれぞれ述べよ。
【平成27年度】
・問3−1 ⇒トンネルの長寿命化
 我が国の社会資本の多くは高度経済成長期に整備されたものであり、建設後50年以上が経過するインフラの割合はこれから急激に増加することになり、社会資本の長寿命化が求められる状況になってきた。このような状況を考慮して、以下の問いに答えよ。
(1)トンネルの長寿命化のために検討すべき課題を多様な観点より述べよ。
(2)(1)で示した課題のうちあなたが特に重要と考える2つの課題について、解決するための具体的な提案を示せ。
(3)あなたの提案のそれぞれについて、実施により予想される効果を述べよ。また、実施の際に留意すべき事項についてトンネルの特徴を踏まえて述べよ。
・問3−2 ⇒労働力不足
 平成4年度以降の建設投資減少に伴い、建設業界の就労者数は年々減少傾向を示していたが、平成22年度以降、建設投資は増加の傾向にあり、建設技術者や建設技能者の不足が社会的な問題となってきた。このような状況を考慮して、以下の問いに答えよ。
(1)建設業界における労働力不足の要因と考えられる社会的背景について多様な観点から記述せよ。
(2)(1)の記述を踏まえ、トンネル分野においてあなたが特に重要であると考える課題を2つ挙げ、それぞれの解決策について記述せよ。
(3)(2)であなたの掲示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、解決策の実行に当たって想定されるリスクについて記述せよ。
【平成26年度】
・問3−1 ⇒技術継承
 産業界の多くの分野で若い世代への技術継承にかんする取り組みが行われている。技術は一度途絶えてしまえば後生に伝えることが困難で、技術がうまく継承されない場合、将来危機的な技術力の低下に陥るおそれもある。技術継承に関する以下の問いに答えよ。
(1)建設分野において現在直面している技術継承に関する課題を、多様な観点から述べよ。
(2)上述した課題を踏まえ、建設分野において技術継承のためにあなたが必要と考える方策を2つ掲示し、その内容について説明せよ。
(3)あなたが専門とするトンネル分野の技術継承の面での特性について延べよ。また、これを踏まえた上で(2)においてあなたが掲示した方策がもたらす効果と想定される問題点について述べよ。
・問3−2 ⇒労働災害・公衆損害事故
 トンネル建設工事においては、これまで事故防止に向けた様々な安全対策が講じられてきたものの、重大な労働災害や公衆損害事故等が依然として発生している。トンネル建設工事中の事故に関する以下の問いに答えよ。
(1)トンネル建設工事特有の事故のうち、あなたが専門とするトンネル分野において、特に調査・設計段階から予防に留意する必要がある事故を2つ挙げ、その内容を説明せよ。また、それぞれの事故について 1.調査・設計段階 2.施工段階 において、事故を未然に防止するための留意点や技術的対策を概説せよ。
(2)建設工事を取り巻く近年の社会的背景やトンネル建設工事の特性を踏まえて、事故のリスクを高めるおそれがあると考えられる要因や課題を3つ挙げ、その内容を説明せよ。
(3)(2)で挙げた要因や課題に対して、今後どのような対応が必要となるかあなたの意見を述べよ。
【平成25年度】
・問3−1 ⇒トンネルの老朽化
 我が国の社会資本は高度経済成長期に集中的に整備され、建設後既に30~50年の期間を過ぎているものが多いことから、今後急速に老朽化が進行すると考えられる。このような状況を勘案して、以下の問いに答えよ。
(1)社会資本全般に関する老朽化について課題を挙げ、それに対する対応策をアセットマネジメントの観点から記述せよ。
(2)あなたが専門とする分野のトンネルにおいて、老朽化により問題となっている現象について記述せよ。
(3)現状のトンネル維持管理技術(点検、補修等)の課題を複数挙げ、その課題解決に向けて今後開発すべき技術についてあなたの意見を述べよ。
・問3−2 ⇒工程管理
 国土交通省公共事業コスト構造改善プログラム(平成20年3月)においては、「工事コストの縮減」に加えて、「事業のスピードアップに効果の早期発現」も評価項目とされており、工事を予定通り進捗させることが強く求められている。
 トンネル建設においても、工程の確保は重要な課題である。しかしながら種々の制約条件から当初計画した工程どおりに工事を進めることが困難となることが多い
このような状況を踏まえ、あなたが専門とする分野のトンネルにおいて、以下の問いに答えよ。
(1)工程管理上、工事着手前に十分検討する必要がある項目を多面的に延べよ。
(2)工事着手後の工程管理について、あなたが直面した課題を具体的に挙げるととともに、解決のために行った技術的提案を延べよ。
(3)あなたの技術的提案がもたらした効果について述べよ。また、その提案に想定されたリスクについて述べよ。