技術士第二次試験過去問考察【トンネル部門、問2−2】

技術士第二次試験建設部門の記述式問題の考察を行う。今回は「0909 トンネル部門」の問2−2についてである。

○考察結果
 平成28年度〜25年度までを調べると、各年度の2問のうち1問は山岳トンネル、1問は開削、シールドから出題されている。開削・シールドから出題される問題は立坑に関する問題が多いが、内容は「出水」「環境」など幅広い分野から出題されている。
 以下過去問を記載する。
○過去問
問2−2.次の2設問のうち1設問を選び解答せよ。
【平成28年度】
・問2−2−1 ⇒山岳トンネル
 図のような2車線道路のトンネルの建設が山岳工法により計画されている。途中で重要水路トンネルの直下を離隔約7mで交差する。この水路トンネルは昭和初期に建設されてもので内空寸法は幅3m、高さ3mである。この近接施工について、以下の問いに答えよ。
(1)トンネル建設に伴い懸念される現象及び工事計画段階で必要と考えられる調査項目について説明せよ。
(2)既設トンネルへの影響、既設トンネル側の対応、新設トンネル側の対応の3つの観点から、工事計画段階で検討しなければならない項目について説明せよ。
(3)施工時に必要となる観察・計測項目を挙げ、施工管理方法について説明せよ。
・問2−2−2 ⇒シールド、開削
 図に示すように都市部においてシールド発進立坑工事(CASE-A)及び開削トンネル工事(CASE-B)を計画している。それぞれの図は掘削、床付けが完了している時点の概略図である。工事による出水事故の防止に関してどちらか1方のCASEを選択し、以下の問いに答えよ。
(1)地盤条件を踏まえ、図に示すような立坑又は開削トンネルの計画及び施工に当たって留意点をそれぞれ多面的に延べよ。
(2)図示した出水ルート1及び2について、出水を未然に防止するための具体的な対策をそれぞれ2つずつ延べよ。
【平成27年度】
・問2−2−1 ⇒山岳トンネル
 下図(平面図及び想定地質断面図)を見て、以下の問いに答えよ。なお、通常時の地下水位はトンネルレベルより低いものとする。
(1)図に示す100m間においてトンネル掘削に伴って問題となる現象を延べよ。
(2)上記現象に対する対策工を立案するに当たって施工前に必要と考えられる調査項目と調査位置を解答用紙に簡単な平面図を書いて示し、その調査の目的を述べよ。
(3)上記現象の問題解決のための対策工を提案せよ。また、施工時に必要と考えられる地表及び地表からの計測項目と計測位置を解答用紙に簡単な平面図を書いて示し、その計測の目的を述べよ。
・問2−2−2 ⇒シールド、開削
 都市部の幹線道路において、開削工事により設置した立坑とそれを発進立坑とした密閉型シールドトンネル工事を計画している。当該工事を実施するに当たり必要と考えられる環境保全対策について、以下の問いに答えよ。
(1)工事に伴い周辺の環境を保全するために必要な調査項目を列挙するとともに、各調査項目の概要について述べよ。
(2)上記のうち3項目を選定し、各項目について環境を保全するための具体的な対策を複数記述せよ。
(3)当該工事においてあなたが最も効果的と考える建設副産物の有効利用方法を提案し、その概要と留意点について記述せよ。
【平成26年度】
・問2−2−1 ⇒山岳トンネル
 図1のような条件の道路トンネルを山岳工法により東側坑口から掘削する。これまでの実施済みの調査は、地表踏査、弾性波探査、河川近傍ボーリング調査であり、図中の地下水位はこれらの調査をもとにした想定水位である。トンネルを掘削するに当たっての地下水位対策に関して、区間1〜3のそれぞれに対し、以下の問いに答えよ。
(1)トンネル掘削に伴って問題となる現象を、地下水位の観点から想定し、その内容を述べよ。
(2)上記現象に対する対策工を立案するに当たって施工前に必要となる追加の調査項目を挙げ、その目的を述べよ。
(3)上記現象の問題解決のための対策工を提案し、施工中の留意点を延べよ。
・問2−2−2 ⇒シールド、開削
 図2に示すように、都市部において、開削工法により立坑を築造し、そこから外径3mのシールドを発進してトンネルを築造する工事を行っている。以下の問いに答えよ。
(1)立坑の構造や大きさ、形状の決定に当たって留意すべき点を延べよ。
(2)当工事に適したシールド発進方法を2つ挙げ、その概要と設計・施工上の留意点について述べよ。
(3)本掘進を開始したところ、シールド機が下向きにピッチングを起こすとともにローリングした。考えられるピッチングの原因を列挙するとともに工事を続けるに当たって採るべき対応を延べよ。また、ローリングに対する対策を挙げよ。
【平成25年度】
・問2−2−1 ⇒山岳トンネル
 近年、山岳トンネルにおける覆工コンクリートの品質向上が求められている。そのような状況を考慮して、以下の問いに答えよ。
(1)配合や材料の品質管理、打ち込み及び養生の各段階での課題を延べよ。
(2)上記の課題を解決するための技術的提案を延べよ。
・問2−2−2 ⇒シールド、開削
 図2に示すように、供用中の地下重要構造物に近接してシールドトンネル工事(CASE-1)及び開削トンネル工事(CASE-2)を計画している。近接する重要構造物の機能や構造に支障を与えないよう施工するに当たり、どちらか1方のCASEを選択し、以下の問いに答えよ。
(1)工事計画の策定に当たって検討しなければならない項目を多面的に述べよ。
(2)計測管理計画を立案する場合の留意点について述べよ。
(3)施工途中において計測データが事前予想値を超えた場合、考えられる原因を列挙せよ。また、その中から1列を選び、具体的な対策方法とその対策における留意点について述べよ。