コンクリートのひび割れ(1級土木実地試験+α)

 1級土木施工管理技士の実地試験で必要なコンクリートのひび割れについて記載する。理解を助けるために1級土木試験レベル以上の項目についても記述する。
1.温度ひび割れ
 温度ひび割れとは、コンクリートの硬化の過程で生じる熱により発生するひび割れである。
 セメントと水が水和反応を起こし水和熱が発生する。その熱によりコンクリートが膨張、その後コンクリートの温度が下がる過程でコンクリートが収縮する。膨張・収縮の過程でコンクリートに負荷がかかり、ひび割れが発生する。低発熱型のセメントを使用する、コンクリート表面の急な温度低下を防ぐことが対策としてある。

(ここから+α)

 温度ひび割れは内部拘束によるものと外部拘束によるものがある。

内部拘束によるひび割れはコンクリートの内部と外部の温度差によるものである。コンクリート打設後にコンクリート全体の温度が上昇する。その後、コンクリートの温度が下がる過程で内部の温度が高いまま表面の温度が下がると、コンクリート表面だけが収縮しようとするためコンクリート表面にひび割れが発生する。

 外部拘束によるひび割れはコンクリート全体が冷えて収縮する過程で、コンクリート外部の岩盤等によって収縮が拘束されひび割れが発生する。外部拘束によるひび割れは貫通クラックとなりやすいため漏水の原因になりやすい。
2.アルカリシリカ反応によるひび割れ
 コンクリート中のアルカリ分と反応性骨材が反応して異常膨張が発生し、コンクリートのひび割れが発生する。
 無害と判定された骨材を使用する、コンクリート中のアルカリ総量を3.0kg/m3以下にする、高炉セメント・フライアッシュセメントを使用するという対策がある。
3.沈下ひび割れ
 コンクリート打設後にブリーディング水が上昇しコンクリートは沈下する。その際に鉄筋がコンクリートを拘束するため、鉄筋に沿ってコンクリート表面にひび割れが発生する。
 コンクリートの単位水量を少なくしブリーディングを抑制することでひび割れを防ぐことができる。
4.乾燥収縮ひび割れ
 コンクリート中のセメントペーストが乾燥し、コンクリートが収縮しひび割れが発生する。
 十分湿潤養生を行い乾燥を防止する、コンクリートの単位水量を減らし乾燥収縮量を減らすという対策がある。
 (ここから+α)
 乾燥収縮ひび割れは長い期間の中でコンクリートが乾燥する過程で発生するひび割れである。
 プラスティックひび割れもコンクリートの乾燥によって生じるが、こちらはコンクリートが硬化する前に表面が乾燥して発生するひび割れであり「初期乾燥ひび割れ」のようなイメージである。硬化前にダンピングを行い取り除くことができる。
プラスティックは可塑性という意味であり、まだ固まっておらず動くという意味である。