事後保全【対処療法】

○事後保全とは
 事後保全とは、何か不具合が生じた時にその不具合に応じて対処を行う管理方法である。コンクリート構造物においては最もオーソドックスな管理手法であり、現在までの主流である。
 英語で「Breakdown maintenance:BM」であり、ブレイクダウンしたらメンテナンスするという意味である。

○事後保全の問題点
1.気が付かないうちに深刻な劣化が発生する可能性がある
 事後保全の場合は何か変状が進行していることを誰かが発見しない限りメンテナンスを行う機会がないので、劣化が著しく進行する可能性がある。これを防ぐためには、定期的に点検を行う必要がある。

 

2.補修費用が高額になる
 劣化が深刻になってから補修を行うため、補修が必要になった場合は大規模な補修が必要になる可能性があり、一度に必要となる補修費用が高額になる。ライフサイクルコストを考えると、こまめに補修を行う予防保全のほうがコストを削減できると言われている。

 

○事後保全を適用すべき範囲
 劣化が進行したとしてもリスクが小さい事象に対しては事後保全の考え方のほうが良い。

 

○事後保全と予防保全の例え
【洋服のボタン】
 ボタンが取れたから縫って直すのが事後保全。ボタンが取れそうになっていないか月に一回点検し、糸が細くなっていたら縫い直すのが予防保全。
 この例の場合は普通は事後保全で十分である。

 

【赤ちゃんのオムツ替え】
 オムツが臭くなってから取り替えるのが事後保全。こまめにオムツを確認して、汚れていたら取り替えるのが予防保全。
 この場合は赤ちゃんの衛生面を考えれば予防保全が適切である。

 

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