予知保全【自動計測で判断】

○予知保全とは
 設備や構造物の性能を評価し、補修を行うという考え方である。予め計測機を対象物に設置して稼働状況を定常的に測定する。データを収集し劣化の兆候を検知したら補修を行う。
 従来の事後保全や予防保全は、人が点検を行いその点検結果を基に補修を行う管理手法である。一方、予知保全は予め設備に計測装置を設置し、測定データをモニタリングする。測定値が一定の管理基準を超過した場合に劣化が進行したと判断し、補修を行う。IOTの進歩に伴い計測技術が向上したため、近年注目されているいる。
 状態基準保全(Condition based maintenance:CBM)とも言う。

○予知保全の長所
 予知保全は計測器を使用して稼働状況を計測し、そのデータを元に補修を行う管理手法である。そのため、現地で行う点検が不要となり、データ上で補修の要・不要を判断することができる。また、計測データを常時収集できるため、データを適切に評価できれば、最適な補修サイクルを確立することができる。

 

○予知保全の課題
 土木構造物に適用することを考えると、現時点では適切な評価方法を確立するのが困難である。
 例として橋に予知保全の考え方を導入することを考える。橋の点検で必要な項目は、塩害(外来、内存)、アルカリシリカ反応、中性化、凍害、化学的浸食、構造物の変位・振動・ひび割れの発生等多岐にわたる。
 この中で、構造物の変位は自動測量で監視可能であり、振動については振動計を設置すれば常時モニタリングが可能である。また、ひび割れの発生はAEセンサーでモニタリング可能である。しかし、その他の項目はセンサーによる常時監視は今の技術では困難である。考えられる測定方法は、電気抵抗法でかぶりコンクリートを評価する、分極抵抗法で鋼材の腐食速度を監視するぐらいである。
 計測技術が今後より一層進歩することが期待される。

 

○関連記事
・予防保全【定期点検をして早めに対処】
・事後保全【=対処療法】


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