ミクロセル腐食【鉄筋の表面でわずかに起きる】

○ミクロセル腐食とは
 ミクロセル腐食とは、鉄筋の表面などで微視的に起きる腐食現象である。
※微視的(びしてき)=ミクロ
 人間の感覚で識別できないほど現象が微細であるさま。

 

○ミクロセル腐食のメカニズム
 腐食のメカニズムはミクロセル腐食でもマクロセル腐食でも同じである。
 塩化物イオン濃度が高い部分でアノード反応が生じ、塩化物イオン濃度が低い部分でカソード反応が生じる。この時、アノード部が陽極となりカソード部が陰極となるため、陽極から陰極に向かって腐食電流が流れることで陽極部の鉄筋の腐食が促進される。
 ミクロセル腐食は鉄筋表面のわずかな組織や環境の差により、アノード反応とカソード反応が生じて腐食が進行する。そのため、ミクロセル腐食ではアノードとカソードの場所が固定されず、全体的に腐食が進行する。また、「僅かな差」により反応が進行するため、比較的穏やかに腐食が進行する。

 

○ミクロセル腐食のキーワード
・極めて微視的に反応が生じる
・マクロセル腐食に比べると反応が穏やか
・アノードとカソードの場所が固定されない

 

○マクロセル腐食との比較
・反応速度
マクロセル > ミクロセル
・アノード反応とカソード反応が発生している場所の距離
マクロセル:離れている
ミクロセル:近い
・アノード反応とカソード反応の位置
マクロセル:固定
ミクロセル:固定されていない

 

○その他
 コンクリート診断士の選択肢の中に「ミクロセル」という単語が登場したことはあるが、正解として出てきたことはない。