好気性・嫌気性【酸素が「好き」か「嫌い」か】

○好気性細菌とは
 好気性細菌とは、酸素が存在する所で正常に生育する細菌類である。通常の細菌は好気性細菌である。好気性細菌は酸素がある場所に存在するので、物質に酸素を与える酸化反応が起きる。

 

○嫌気性細菌とは
 嫌気性細菌とは、無酸素の状態で生育する細菌である。酸素存在下で生存可能なものと困難なものがある。乳酸菌や大腸菌は嫌気性細菌である。嫌気性細菌は無酸素の状態の所に存在するので、物質から酸素を奪う還元反応が起きる。

 

○下水道関連施設での劣化
・嫌気性細菌による還元反応
 下水道関連施設では、微生物腐食と呼ばれる劣化が生じる。下水に含まれる硫酸塩(HS⁻)や含有アミノ酸が嫌気性細菌によって還元され、硫化水素(H₂S)が生成される。還元反応とは物質が酸素を失う、または水素(H)と結合する反応のことである。

 

・好気性細菌による酸化反応
 上記の反応で生成された硫化水素(H₂S)が流水の流れで気相中に放散されると好気性細菌によって酸化され、硫酸(H₂SO₄)が生成される。この硫酸がコンクリートを侵食する。酸化反応とは物質に酸素(O₂)が化合する反応、あるいは水素を奪われる反応である。