指定数量の倍数計算とは
指定数量の倍数計算とは、実際に貯蔵している危険物が指定数量の何倍に相当するかを計算することである。危険物の取り扱いには指定数量の倍数による規制があり、「屋内タンク貯蔵所のタンク容量は指定数量の40倍以下」や、「第1種販売取扱所は指定数量の倍数が15以下のもの」「第2種販売取扱所は指定数量の倍数が40以下のもの」などと規定されている。
指定数量の倍数計算例
危険物が1種類だけの場合
例1-1.軽油を2000リットル貯蔵する場合
軽油は「第2類石油類」で「非水溶性」である。指定数量は「1000リットル」である。
指定数量の倍数 = 貯蔵量 ÷ 指定数量 = 2000÷1000 = 2
となり、指定数量の2倍の危険物を貯蔵していることになる。
例1-2.ガソリンを1000リットル貯蔵する場合
ガソリンは「第1石油類」で「非水溶性」である。指定数量は「200リットル」である。
指定数量の倍数 = 貯蔵量 ÷ 指定数量 = 1000 ÷ 200 = 5
となり、指定数量の5倍の危険物を貯蔵していることになる。
危険物が複数の場合
例2-1.貯蔵所「A」でジエチルエーテル100リットルとメタノール200リットル貯蔵する場合
ジエチルエーテルは「特殊引火物」で指定数量は「50リットル」である。
メタノールは「アルコール類」で、指定数量は「400リットル」である。
ジエチルエーテルの指定数量の倍数=100÷50=2
メタノールの指定数量の倍数=200÷400=0.5
貯蔵所「A」全体の指定数量の倍数は 2+0.5=2.5
となり、貯蔵所「A」全体では、指定数量の2.5倍の危険物を貯蔵していることになる。
例2-2.貯蔵所「B」でアセトン200リットル、灯油500リットル、酢酸500リットル貯蔵する場合
アセトンは「第1石油類」「水溶性」であり、指定数量は「400リットル」である。
灯油は「第2石油類」「非水溶性」であり、指定数量は「1000リットル」である。
酢酸は「第2石油類」「水溶性」であり、指定数量は「2000リットル」である。
アセトンの指定数量の倍数=400÷200=2
灯油の指定数量の倍数=500÷1000=0.5
酢酸の指定数量の倍数=500÷2000=0.25
貯蔵所「B」全体の危険物の指定数量の倍数は 2+0.5+0.25=2.75
となり、貯蔵所「B」全体では、指定数量の2.75倍の危険物を貯蔵していることになる。