トルエンによる健康障害【神経障害】

トルエンとは

 芳香剤炭化水素の一つであり、特異臭のある無色の液体である。化学式はC7H8である。石油の分解・改質や石炭のタール経由などの分留で得られる。

トルエンの使用状況

 トルエンは染料、香料、医薬品、溶剤、ガソリン配合燃料として用いられる。

トルエンの規制

毒物劇物取締法

 毒物劇物取締法とは、急性毒性による健康被害が発生するおそれが高い物質を毒物又は劇物に指定し、保健衛生上の見地から規制する法律である。

 毒物と劇物の違いは毒の強さである。毒物は「大人が誤飲した場合の致死量が2g程度のもの」、劇物は「大人が誤飲した場合の致死量が2-20g程度のもの」である。

 トルエンは、劇物に指定されている。

有機溶剤中毒予防規則

 有機溶剤中毒予防規則とは、有機溶剤を使用する際に必要な設備・管理・健康診断・保護具等について定めた法律である。有機溶剤を使用する作業者の有機溶剤中毒を予防することを目的として法律である。

 有機溶剤は毒性の強い順に第一種、第二種、第三種に分けられており、トルエンは第二種に分類されている。

PRTR法(化学物質管理促進法)

 PRTR法とは、有害性のある対象化学物質を誰がどのくらいの量を環境中へ放出しているのかを把握するための法律である。各事業所等が対象化学物質の排出状況を管理・報告することで、化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律である。

 トルエンが対象化学物質に定められている。

 ちなみに、PRTRの意味は以下の通りである。

Pollutant:汚染物質

Release:放出する

Transfer:移動

Register:記録

水質汚濁防止法

 水質汚濁防止法とは、工場などから公共用水域に排出される水の排出規制や生活排水対策の促進により、公共用水域・地下水の水質の汚濁を防止することと、健康被害が生じたときの事業者の損害賠償責任について定めた法律である。

 水質汚濁法では有害物質の排水基準が定められており、トルエンが有害物質に指定されている。

大気汚染防止法

 大気汚染防止法とは、ばい煙排出者に対して排出基準に適合しないばい煙の排出を禁止し、国民の健康の保護と生活環境の保全を目的とした法律である。ばい煙とは、煙とすすのことである。

 トルエンは排出基準が指定されている。

トルエンの健康障害

  • 中枢神経の異常
  • 自律神経の異常

中枢神経:知覚、運動、創造などの諸機能を調整する神経の総称

自律神経:意思とは無関係に働く内臓器官を支配する神経系