衛生管理者免許の種類【第二種<第一種<衛生工学】

 衛生管理者免許には3種類ある。それぞれの免許によって従事できる業務内容の範囲が異なり、上下関係である。

 第二種免許 < 第一種免許 < 衛生工学免許

それぞれの免許の業務範囲と試験範囲について記載する。

第一種衛生管理者免許

第一種の資格が必要な業種

 第一種衛生管理者とは、下記業種の衛生管理者になるために必要な免許である。

  • 農林畜水産業
  • 鉱業
  • 建設業
  • 製造業
  • 電気業
  • ガス業
  • 水道業
  • 熱供給業
  • 運送業
  • 自動車整備業
  • 機械修理業
  • 医療業
  • 清掃業

 第一種衛生管理者免許試験範囲

  • 労働生理:10問
  • 労働衛生(有害業務関連):10問
  • 労働衛生(非有害業務関連):7問
  • 関係法令(有害業務関連):10問
  • 関係法令(非有害業務関連):7問

 第一種衛生管理者試験では、第二種衛生管理者試験と違い「有害業務関連」が出題される。これは、第一種衛生管理者が衛生管理者となることができる業種が、有害業務が含まれる可能性の高い業種のためである。

第二種衛生管理者免許

第二種免許で衛生管理者になれる業種

 第二種衛生管理者とは、上記業種以外(農林畜水産業〜清掃業)の業種の衛生管理者になるために必要な免許である。

第二種衛生管理者免許の試験範囲

  • 労働生理:10問
  • 労働衛生(非有害業務関連):10問
  • 関係法令(非有害業務関連):10問

 第二種衛生管理者免許試験では、「有害業務」が試験範囲から除外されている。そのため、第二種衛生管理者免許で衛生管理者となれる業種は、上記業種(農林畜水産業〜清掃業)を除いた業種に限定される。

衛生工学衛生管理者

 衛生工学衛生管理者免許の位置付け

 衛生工学衛生管理者は、第二種・第一種衛生管理者免許の上位資格にあたるため、全ての業種の衛生管理者になることができる。

 また、労働安全衛生規則第7条の5により、下記の条件に当てはまる事業場の衛生管理者のうち1人は、衛生工学管理者免許を受けた者から選任しなければならないとされている。

衛生工学衛生管理者が必要な条件

 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、常時30人以上が以下の業務に従事する事業場

  1. 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  2. ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
  3. 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
  4. 異常気圧下における業務
  5. 鉛、水銀、クロム、砒ひ素、黄りん、弗ふつ素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務

衛生工学衛生管理者免許の取得方法

 衛生工学衛生管理者免許の取得方法は、「都道府県労働局長の登録を受けたものが行う衛生管理者講習を修了した者」と定められている。

 具体的には、5日間の合宿講習を受講し、講習中の理解度テストに合格することで衛生工学衛生管理者講習修了証を受領することができる。そして、その修了証を持って免許申請を行い、免許を取得する。

衛生工学衛生管理者講習の内容

 衛生工学衛生管理者講習では、座学と実習がある。

 座学で習う内容は、第一種衛生管理者試験とほぼ同等の内容である。5日間の講習のほとんどが座学であり、習った内容を理解しているかを確認するテストがある。テストが不合格だった場合は、当然修了証は発行されない。

 実習では、局所排気装置の風速測定等を行う。