必須科目過去問の解説と考察【建設部門H28-10】

技術士第二次試験建設部門の必須科目の解説・考察を行う。
平成28年度技術士第二次試験問題【建設部門】
10.災害に対する近年の取組の状況に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 平成27年版防災白書によると、公共インフラの耐震化の状況は、平成25年度末で道路(緊急輸送道路の橋梁)及び下水道(重要な幹線等)共に9割以上となっている。
  2. 平成27年版環境・循環型社会・生物多様性白書によると、東日本大震災により、東日本の太平洋沿岸部を中心に13都道府県にわたり生じた災害廃棄物の処理の状況(福島県の避難区域を除く)は平成27年1月末現在、5割程度にとどまっている。
  3. 平成26年度国土交通白書によると、洪水ハザードマップの整備状況は平成27年3月末現在、対象市町村の5割程度にとどまっている。
  4. 平成23年に制定された「津波防災地域づくりに関する法律」では津波災害警戒区域における一定の開発行為及び建築物の建築等の制限に関する措置、並びに津波災害特別警戒区域における警戒避難態勢の整備について定めている。
  5. 平成28年消防庁刊行の「地方防災行政の現況」によると、市区町村では、都道府県内の統一応援協定や県境を超えた区域的な協定の締結など、広域防災応援協定に取り組む団体が多くなってきており、平成27年4月1日現在、広域防災応援協定を結んでいる市区町村は1705団体であり、全市区町村の9割以上となっている。

○解答と解説
 最も適切な解答は[5]である。
・広域防災応援協定
  地方公共団体間等の広域防災応援に係る制度としては、消防組織法に基づく消防相互応援のほか、災害対策基本法に基づく地方公共団体の長等相互間の応援、地方防災会議の協議会の設置等がある。 また、災害対策基本法においては、地方公共団体は相互応援に関する協定の締結に努めなければならないとされている。
○その他のキーワード
・公共インフラの耐震化
施設
平成23年度末時点での
耐震化の割合(%)
道路
79
鉄道(新幹線)
100
鉄道(在来線)
93
空港
57
港湾
67
下水道施設
33
・東日本大震災の災害廃棄物の処理状況
 平成26年3月末時点で岩手県(100%)宮城県(100%)福島県(97%)処理が完了しており、3県で97%完了している。
・洪水ハザードマップ
 平成28年3月31日時点で98.5%の市町村が作成・公表しており、未公表の市町村は20市町村である。
・津波災害警戒区域
(津波災害警戒区域)
第五十三条  都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、津波が発生した場合には住民その他の者(以下「住民等」という。)の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、当該区域における津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を、津波災害警戒区域(以下「警戒区域」という。)として指定することができる。
2  前項の規定による指定は、当該指定の区域及び基準水位(津波浸水想定に定める水深に係る水位に建築物等への衝突による津波の水位の上昇を考慮して必要と認められる値を加えて定める水位であって、津波の発生時における避難並びに第七十三条第一項に規定する特定開発行為及び第八十二条に規定する特定建築行為の制限の基準となるべきものをいう。以下同じ。)を明らかにしてするものとする。
・津波災害特別区域
(津波災害特別警戒区域)
第七十二条  都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、警戒区域のうち、津波が発生した場合には建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為(都市計画法第四条第十二項に規定する開発行為をいう。次条第一項及び第八十条において同じ。)及び一定の建築物(居室(建築基準法第二条第四号に規定する居室をいう。以下同じ。)を有するものに限る。以下同じ。)の建築(同条第十三号に規定する建築をいう。以下同じ。)又は用途の変更の制限をすべき土地の区域を、津波災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)として指定することができる。
 選択肢4は津波災害警戒区域と津波災害特別警戒区域の説明が異なっている。