技術士第二次試験建設部門の必須科目の解説・考察を行う。
平成28年度技術士第二次試験問題【建設部門】
11.我が国の循環型社会の形成に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 「建設工事に関する資材の再資源化等に関する法律」では、特定建設資材を用いた建設物等に係る解体工事であって、その規模が一定規模以上のものの受注者は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならない。
- 循環型社会の構築に向けて循環資源の「環」を形成するため、循環資源の広域流動の拠点となる港湾がリサイクルポート(総合静脈物流拠点港)として平成27年度までに全国で22港指定されている。
- 平成24年度において、建設廃棄物は全産業廃棄物排出量の約5割、最終処分量の約5割を占めており、その発生抑制、リサイクルの促進は重要な課題である。
- 建設発生土は建設工事から排出される土砂であり、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に規定する廃棄物には該当しない。
- 平成24年度における建設汚泥、建設発生木材の再資源化率は平成17年度よりも向上しているものの、コンクリート塊やアスファルト・コンクリート塊の再資源化率には及ばない。
○解答と解説
最も不適切なものは[3]である。建設廃棄物は、全産業廃棄物排出量の2割程である。
○その他のキーワード
・リサイクルポート
総合静脈物流拠点とも呼ばれ、リサイクル等の静脈物流の拠点となる港湾のこと。人の血管に例えて、製品系の輸送を動脈物流と表現するのに対し、生産や消費活動で排出されたものの輸送を静脈物流と表現する。
・建設発生土(建設副産物)
「建設副産物」とは建設工事に伴い副次的に得られた全ての物品であり、その種類の中に「建設発生土」「有価物」「建設汚泥」「コンクリート塊」などがある。
「建設発生土」には
(1)土砂及び専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
(2)港湾、河川等の浚渫に伴って生ずる土砂
がある。
「有価物」とはスクラップ等他人に有償で売却できるものである。
「建設廃棄物」とは「建設汚泥」や「コンクリート塊」など、建設副産物のうち廃棄物に該当するものをいう。
・再資源化率
[アスファルト・コンクリート塊、コンクリート塊]の場合
再資源化率=(再使用量+再生利用量)÷排出量
[建設発生木材]の場合
再資源化率=(再使用量+再生利用量+熱回収量+焼却による減量化量)÷排出量
[建設汚泥、建設混合廃棄物、金属くず、廃プラスチック、紙くず、アスベスト]の場合
再資源化率=(再使用量+再生利用量+脱水・焼却等の減量化量)÷排出量