アルカリシリカ反応・化学的侵食・凍害コンクリートの劣化(1級土木試験編+α)

 1級土木施工管理技士の実地試験に必要なコンクリートの劣化のうちの「アルカリシリカ反応」「化学的侵食」「凍害」についてまとめる。理解を助けるために、1級土木試験レベル以上の項目についても記述する。他の主要な要因である「塩害」「中性化」については先日記載済みである。
3.アルカリシリカ反応
 アルカリシリカ反応は骨材中に含まれる反応性シリカ鉱物がコンクリート中のアルカリ性水溶液と反応して、コンクリートに異常膨張やひび割れを発生させる現象である。原因物質は「反応性骨材」である。対策はコンクリートのアルカリ総量を3.0kg/㎥以下とする、安全と認めらる骨材を使用する、抑制効果がある混合セメント(高炉セメントB種・C種、フライアッシュセメントB種・C種)を使用するなどがある。
 (ここから+α)

 アルカリシリカ反応による反応生成物の生成や吸水に伴う膨張によりコンクリートのひび割れが発生する。反応性骨材の判定は化学法、迅速法、モルタルバー法がある。判定の厳しさは厳しい順に化学法、迅速法、モルタルバー法であり、最も厳しい化学法で無害ではないと判断された場合でもモルタルバー法で無害であると判定されれば無害骨材として扱ってよい。
 ひび割れの特徴は拘束の小さな無筋コンクリートでは亀甲状に生じ、鉄筋コンクリート構造物では主筋方向に生じる。
4.化学的侵食
 化学的侵食とは、コンクリートが外部の化学物質と化学変化を起こし劣化することである。
 (ここから+α)
主な現象は以下の通りである。
・硫酸や塩酸などの強酸がセメント水和物を分解してコンクリートを侵食
・塩化水素・フッ化水素・硫化水素・二酸化硫黄などの気体による侵食
・海水に含まれる硫酸マグネシウムや塩化マグネシウムによる劣化
 対策は、コンクリートの表面に被覆を施すことや、設計時から定期的にメンテナンスすることを考慮して補修方法を計画しておくことが考えられる。
5.凍害(コンクリートの凝結時の初期凍害とは区別する)
 凍害とはコンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返すことによってコンクリート表面からスケーリング、微細ひび割れ、ポップアウトなどが生じる現象である。対策はAE剤を使用したエントレインドエアを含んだコンクリートを打設する、水セメント比を小さくしてコンクリート中の水分を減らすなどがある。
 (ここから+α)
 スケーリングとはコンクリートの表面が薄片上にはく離・はく落することである。ポップアウトとはコンクリート中の骨材が吸水膨張を起こし、コンクリートが円錐状に剥がれ落ちる現象である。