泥土圧シールドと泥水圧シールドの特徴と違いについて述べる。
○泥土圧式シールドとは
泥土圧式シールドでは掘削土砂を泥土化し、それに所定の圧力を与え切羽の安定を図って掘削を行う。掘進速度と排土量を制御して土圧を保持する。スクリューコンベアの回転数を増減させることにより排泥量を制御する。。掘削土砂を泥土化させるために添加材を使用する掘削方法が「泥土圧式」であり、元々の地盤の粒度分布が良く添加材を使用しない場合は「土圧式」という。
掘削土砂の搬送は軌道方式、ポンプ圧送方式、、コンベヤー方式などがある。軌道方式とはシールド坑内に軌条設備を設置し、掘削土砂運搬車（ズリカン）に掘削土砂を入れて、電車等により坑外へ搬出する。ズリカンは底開き式や転倒式などがある。ポンプ圧送方式とは坑内から坑外まで配管を設置し、圧送ポンプを使用して掘削土砂を坑内から坑外まで圧送する方式である。配管で密閉されているため掘削土の飛散等がなくなり安全性や坑内環境が良くなるが、掘削土を圧送に適した性状に調整する必要がある。特に砂礫では配管内で閉塞が生じやすいため、適切な添加材の選定・使用が重要になる。コンベヤー式はベルトコンベアー等で掘削土砂を坑外まで搬出する方法である。シールドの径が小さい場合はスペースの問題で適用が困難である。
泥土圧式シールドは沖積の砂礫、砂、シルト、粘土等の固結度が低い軟弱地盤、洪積地盤および硬軟入り交じっている互層地盤等、土質面では最も適用範囲の広い工法である。しかし、高水圧地盤ではスクリューコンベアのみでは排土量を制御することができない。そのため、スクリューコンベアの延長や連結、圧送ポンプ設備や各種圧力保持用フィーダの装着、掘削土砂の土質性状の改良等を検討する必要がある。
土圧式シールド機参考図
（トンネル標準示方書より） 
○泥水式シールドとは
泥水式シールドはチャンバー内に泥水を送り、切羽に作用する土水圧よりやや高めの泥水圧をかけて切羽の安定を図り掘削を行う。切羽の泥水圧は送泥ポンプと排泥ポンプの回転数を調整して制御する。泥水を地上の水槽から送泥ポンプにより切羽まで送り、切羽を経由して掘削土と共に排泥ポンプにより地上の流体処理設備に輸送する。掘削土を泥水と共に輸送する方法を「流体輸送」という。流体輸送により地上の流体処理設備に入った泥水と掘削土は、篩いにより分離され、泥水は再び切羽へ送る。泥水式シールドの送泥および流体輸送は切羽から地上まで配管で完全に密閉されているため、安全性が高く坑内環境が良い。また、流体輸送設備は掘進状況に応じて切羽水圧を制御できる機能を有しているため、補助工法は必要としない。
泥水式シールドは泥水の浸透による安定効果があるため、水圧の高いところでの施工に適している。 適用土質も砂礫、砂、シルト、粘土、互層等広範囲の土質に対応することができるが、透水性の高い地盤、巨石地盤では泥水の逸泥等の切羽の安定確保が困難となり不向きである。
泥水式シールド機参考図
（トンネル標準示方書より）
