○切羽安定機構
泥水式シールドにおける切羽の安定は以下の3つの作用によるものである。
- 泥水圧により土圧および水圧に対抗する。
- 泥水が切羽面に不透水性の泥膜を作り、泥水圧を有効に作用させる。
- 泥水が切羽面からある程度の範囲の地盤に浸透して切羽に粘着性を与える。
切羽安定機構には切羽安定に最も有効な泥水の物性(比重、濾過特性、粘性、砂分含有率等)の調整と切羽の土圧および水圧に対抗した泥水圧の調整保持機能が必要不可欠である。
シールド掘進停止時に泥水中の土粒子の沈降や泥水の劣化のおそれがある場合はチャンバー内へ良質泥水を環流させるポンプを設けることがある。
切羽泥水圧は送泥ポンプの回転数を変化させ制御する。泥水圧の変動は切羽安定のためには極力抑える必要がある。閉塞等による異常な泥水圧の上昇を防ぐために、緊急圧抜き弁を設置することがある。
○排土量管理
切羽の安定を保持しながらスムーズな掘進を行うには、掘進量に合わせた掘削土を適切に排出する必要がある。泥水式シールド工法では、送泥管および排泥管に設置した流量計と密度計から得られるデータをもとに演算によって偏差流量と掘削乾砂量を求めて地山の取り込み量をチェックする。
掘削した土砂は排泥ポンプにより配管を通り地上に流体輸送される。地上に搬出された泥水は一次処理設備によって礫・砂等を機械的に分離除去し、シルト・粘土等は二次処理設備において凝集剤等を添加して機械的に脱水して分離除去する。土砂を分離した余剰泥水は水や粘土、ベントナイト、増粘剤等を加えて比重、濃度、粘性を調整して切羽へ再循環させる。