泥水式シールド機の構造【送排泥管、礫処理装置】

○カッターヘッド
 地山条件によって面板形状を決定する必要がある。泥水式シールドの場合は面板形のカッターヘッドを採用することが多いが、排泥管径を考慮してスリット幅を設定する必要がある。機内に取り込んで処理が可能な礫の寸法より大きな礫がスリットを通らないように調整する。また、切羽の崩壊が起きやすい地盤の場合は開口率を小さく設定し、粘着力の高い粘性土の場合は付着防止と掘削土の取り込みやすさを考慮して開口率を大きくする。
 
○カッタートルク
 土圧式シールドと比べると、一般的にカッターヘッドと土との摩擦抵抗および土の攪拌抵抗によるトルクは小さい。泥水式シールドではトルク係数αを8〜20程度とする。
○水圧計
 チャンバー内の泥水圧を計測するために適切な位置に設置する。故障に備えて複数個設置することが望ましい。
○送排泥管
 流体輸送設備から泥水を切羽に送る送泥管と、掘削土砂を泥水とともにチャンバーから流体輸送設備まで排出する排泥管で構成されている。送排泥管とも同径の場合が多く、シールド外径が小さい場合は呼び径100ほどであり、シールド外径大きくなると呼び径350ほどになる。砂層、砂礫層の長距離掘進では管の摩耗量が大きくなり管の交換が必要になる場合があるが、シールド内が狭小で交換が困難な場合があるので厚肉管の使用や補強等の対策をあらかじめ施しておく必要がある。

 

○礫処理装置
 掘削土砂の中に巨礫・粗石が存在する場合、排泥設備の能力を考慮して礫処理装置を設置する必要がある。礫処理には破砕する方法と分級する方法がある。破砕する方法は後続台車等にクラッシャーと呼ばれる礫粉砕装置を設置し、そこで巨礫を流体輸送可能な大きさに粉砕する。礫が多い場合に採用される。一方、分級する方法は礫取り装置を設置する。礫取り装置は篩で礫を回収するような装置である。礫が少なく疎らにしか出てこない場合はこちらの方式で対応できる。また、面板のスリットを通らない巨礫が存在する場合は、面板にローラービットを装備し切羽で破砕する。