補助工法【発進、到達、トラブル時】

○補助工法
 シールドの発進、到達、支障物撤去等の作業においては、地山からの湧水や地盤の応力解放による緩みや崩壊の恐れがあるため、補助工法を用いて地山の安定を図らなければならない。 

 

○薬液注入工法
 水ガラス系あるいはセメント系の注入材を地盤中に圧入し、止水性の確保や強度を増加させる目的で用いられる工法である。薬液注入工法には、浸透注入、割裂(かつれつ)注入、割裂浸透注入方式があるが、いずれも基本的な原理は地山の間隙や割れ目に注入材を浸透させ土の骨格を乱すことなく間隙を閉塞して止水性を高めることと、土粒子を結合させて土の粘着力を高めることや脈状注入による土の圧密効果等によって強度増加を期待するものである。
 薬液注入工法の施工にあたっては周辺に井戸や河川等がある場合に水質や水脈への影響と、周辺地盤や構造物に隆起等の変状を生じさせないようにしなければならない。

 

○高圧噴射攪拌工法
 高圧噴流により地山を切削し、土砂と硬化材を置換または混合攪拌し柱状の改良体を造成する工法で、止水性の確保や強度を増加させる目的で用いられる。薬液注入工法に比べ均質な改良体の造成が可能なことや、より大きな改良強度と止水性が必要な場合に適用する。

 

○凍結工法
 地盤の間隙水を凍結させることによって地盤を一時的に固結させ、遮水壁や耐力壁等として利用する目的で用いられる工法である。他の工法では目的が達成しにくい場合に採用される。この工法は地下水があれば適用地盤に制約が少ない、凍土の強度および遮水性が高い、地中温度の測定により凍土の造成状態を確認できる、など信頼性が高い工法である。問題点は、地下水の流速が大きい場合には凍土壁が造成できない、凍土の成長速度が遅いため工期を要する、粘性土地盤等では凍結膨張圧と解凍収縮による周辺地盤への影響が懸念される、等の点である。