火災予防対策
第4類危険物は引火性の液体である。第4類危険物の特徴は以下の通りである。
- 引火しやすい
- 蒸気か空気より重い
- 静電気が生じやすい
- 水に溶けない、水に浮く
第4類危険物による火災を予防するためには、燃焼の3要素を取り除く必要がある。燃焼の3要素は「可燃物」「酸素供給源」「点火源」である。
1.引火しやすい
第4類危険物は引火性液体であり、引火しやすい性質を持っている。火災を予防するために注意すべきことは以下の通りである。
①火気を近づけない
「第4類危険物から発生する可燃性蒸気」=「可燃物」
なので、空気中に存在している第4類危険物は、「可燃物」と「酸素供給源」が常時備わっている状態である。これに火気を近づけると、容易に発火する。まずは火気を近づけないことが大切である。
②加熱しない
第4類危険物は加熱することで液温が上がると引火の危険性が高くなるため、冷暗所にい保管する。
③密栓をする
容器が開いているとそこから可燃性蒸気が漏れ出る。危険物を取り扱わないときは容器を密閉して可燃性蒸気の漏洩を防止する。
④保管容器の容積を確保する
保管している第4類危険物の温度が上昇すると、液体が熱膨張とを起こし、膨張圧力により密閉容器を破壊してしまうことがある。容器を破壊してしまうと可燃性蒸気が放出され危険である。第4類危険物を保管する容器は、若干の空きを作る必要がある。
2.蒸気が空気より重い
第4類危険物から発生する可燃性蒸気は空気より重いため、低所に滞留する性質がある。そのため、火災を予防するためには以下の対策が必要である。
①低所の換気を十分に行う
第4類危険物から発生する可燃性蒸気は低所に滞留するため、低所に排気口を設ける等の対策により、低所の換気を十分に行う必要がある
②排気は屋外の高所に排出する
排気を屋外の高所に排出することで、可燃性蒸気が降下する間に拡散して濃度が薄くなり、引火の危険性が低下する。
③防爆型の電気設備を使用する
可燃性蒸気が滞留するおそれがある場所では火花を発生しない防爆型の電気器具を使用する。防爆型電気設備とは、可燃性蒸気による火災や爆発を防止する電気設備である。
3.静電気が生じやすい
第4類危険物は引火性の液体であるため、液体が配管やホース内を流動することで静電気を発生させる。静電気による放電火花が点火源となるので、火災を予防するためには静電気を発生させないようにする必要がある。
①流速を遅くする
静電気の発生量は流体の流動速度に比例し、流動速度が速いと静電気が発生しやすくなる。危険物を流動する際は、流動速度を遅くすることで静電気の発生を抑制することができる。
②導電性の高い素材を使用する
導電性が高いと静電気が蓄積しにくい。危険物が接する素材を導電性の高い素材にすると静電気が蓄積されにくくなる。保管用の容器やタンク、移送用の配管やノズルに導電性の材料を使うと効果的である。
③湿度を上げる
空気中の湿度が高いと、静電気が空気中の水分に移動しやすくなり静電気が発生しにくくなる。
④アースを取る
静電気を逃がすために、タンクや配管等に「アース」を取る。「アース」とは、地面と接続した導線であり、静電気等の電気がアース線を通って地面へ流すことにより、帯電を防止することできる。
4.窒息消火または抑制消火を行う設備を設ける
第4類危険物は引火性液体であり、水に浮いて拡散する。危険物に引火した時に棒状放射により消火を行うと、放水した水によりさらに火が拡大する恐れがある。消火の際は以下の消火剤を使用する。
- 強化液(霧状放射):抑制効果
- 泡消火剤:窒息効果
- 二酸化炭素:窒息効果
- ハロゲン化物:抑制効果・窒息効果
- 粉末消火剤:抑制効果・窒息効果