鉛による健康障害【貧血・腹痛・伸筋麻痺】

鉛とは

 鉛とは原子番号82番の典型元素である。元素記号はPbである。

鉛の使用状況

主要資源国

 鉛の主要資源国はオーストラリア・アメリカ・中国である。上記3カ国で50パーセントを占めている。

鉛の用途

 鉛の用途は、鉛蓄電池用が全世界で78パーセントである。その他の用途として、ブラウン管・塗料・塩ビ安定剤・銃弾などである。

鉛の規制

 鉛の有害性は古くから知られており、様々な法律で規制されている。

鉛中毒予防規則

 鉛作業について定めた法律である。鉛作業の定義から始まり、換気装置・作業環境測定・健康診断・保護具・作業主任者等について規定されている。

PRTR法(化学物質管理促進法)

 PRTR法とは、有害性のある対象化学物質を誰がどのくらいの量を環境中へ放出しているのかを把握するための法律である。各事業所等が対象化学物質の排出状況を管理・報告することで、化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律である。

 鉛は有害性があるので、対象化学物質に定められている。

ちなみに、PRTRの意味は以下の通りである。

Pollutant:汚染物質

Release:放出する

Transfer:移動

Register:記録

水質汚濁防止法

 水質汚濁防止法とは、工場などから公共用水域に排出される水の排出規制や生活排水対策の促進により、公共用水域・地下水の水質の汚濁を防止することと、健康被害が生じたときの事業者の損害賠償責任について定めた法律である。

 水質汚濁法では有害物質の排水基準が定められており、鉛が有害物質に指定されている。

土壌汚染対策法

 土壌汚染の状況の把握と、汚染による健康被害の防止に関する措置を定めた法律である。工場跡地などを再開発し市街地などにする場合、土地の所有者に対し土壌汚染の調査・除去を義務付けている。

 法律内で土壌に含まれる有害物質の基準量を定めており、鉛は有害物質に指定されている。

鉛の健康障害

鉛の侵入ルート

 鉛の粉塵やヒュームを吸入する「吸入摂取」、顔や手に付着した鉛が口から侵入する「経口摂取」がある。体内に吸収された鉛は、骨に蓄積される。

健康障害の症状

 鉛中毒になると下記の症状が現れる。

  • 貧血
  • 腹痛(疝痛(せんつう))
  • 末梢神経障害
  • 伸筋麻痺による垂れ手
  • 腎障害
  • 生殖毒性

 この中で、衛生管理者試験でよく出てくるのは「貧血」「腹痛(疝痛)」「伸筋麻痺」である。

内部リンク

鉛とは【語源は「生り」】

鉛の毒性【小児については閾値なし】