水銀による健康障害【水俣病】

水銀とは

 水銀とは、原子番号80の典型元素である。元素記号は「Hg」である。常温中に液体で存在する唯一の金属である。

水銀の使用状況

水銀の歴史

 水銀の利用は歴史が長く、日本では700年頃の書物に水銀について記録が残っており、奈良の大仏のめっきに多量の水銀が用いられていることが知られている。

 1956年の水俣病の発生を契機に規制が強化され、使用量を減らす努力が進められている。現在残っている水銀の用途は、電気機器、計量器、電池材料である。

水銀の規制

水銀による環境の汚染の防止に関する法律

 水銀に関する水俣条約の的確かつ円滑な実施を確保し、水銀による環境の汚染を防止するために、水銀の掘採、特定の水銀使用製品の製造、水銀等の使用及び管理等について定めた法律である。

 水俣条約とは、水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護することを目的とした条約である。水俣病のような水銀による健康被害や環境汚染を防ぐために、水銀および水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約である。

特定化学物質障害予防規則

 特定化学物質障害予防規則とは、化学物質による労働者のがん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を予防するために、作業方法・作業環境の整備、健康管理の徹底等について定めた法律である。

 アルキル水銀化合物、水銀が対象物質であり、第二類物質に定められている。

PRTR法(化学物質管理促進法)

 PRTR法とは、有害性のある対象化学物質を誰がどのくらいの量を環境中へ放出しているのかを把握するための法律である。各事業所等が対象化学物質の排出状況を管理・報告することで、化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律である。

 水銀は有害性があるので、「水銀およびその化合物」として対象化学物質に定められている。

 ちなみに、PRTRの意味は以下の通りである。

Pollutant:汚染物質

Release:放出する

Transfer:移動

Register:記録

土壌汚染対策法

 土壌汚染の状況の把握と、汚染による健康被害の防止に関する措置を定めた法律である。工場跡地などを再開発し市街地などにする場合、土地の所有者に対し土壌汚染の調査・除去を義務付けている。

 法律内で土壌に含まれる有害物質の基準量を定めており、水銀およびその化合物が有害物質に指定されている。

水銀の健康障害

水銀の侵入ルート

 水銀は食物連鎖の中で濃縮され、水銀を蓄積した魚等を食べることにより人体に侵入することが知られている。皮膚からもゆっくりではあるが侵入するが、消化器からの侵入と比較すると遅い。

金属水銀の健康障害の症状

  • 感情不安定
  • 幻覚などの精神障害
  • 手指の震え

内部リンク

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