PC単純中空床版の劣化【過去問論文考察】

○現況
・PC単純中空床版の劣化
・建設後20年
・寒冷地山間部
・軸方向に0.1〜0.2mmのエフロレッセンスを伴うひび割れ
・細骨材に海砂を使用
・中性化深さは平均12mm
・かぶりは平均30mm
・全塩化物イオン量は表面で0.2kg、深さ20mmが最大で1.1kg
・促進試験による膨張率は0.1%

○調査結果の考察
・軸方向のひび割れのため、塩害や中性化による鋼材の腐食かASRの可能性が高い
・中性化深さは鋼材まで進んでいない
・塩化物イオン濃度は目安である1.2kgを下回っている
・促進試験による膨張率が0.1%と高いため、アルカリシリカ反応によるひび割れと推測できる

○調査項目
酢酸ウラニル蛍光法によるアルカリシリカゲルの有無の調査
・偏光顕微鏡による付着物の観察
・X線粉末回折による骨材のアルカリシリカ反応性の調査

○今後30年間供用するための補修、補強計画
【ASR対策】
・水分の供給を抑制する
表面被覆工法、シラン系表面含浸工法
【塩害対策】
・今はまだモニタリング段階
自然電位法で腐食の可能性を調査
・必要に応じて脱塩工法により塩化物イオンを除去