補修と補強【定義と工法】

○補修
1.補修の定義
補修とは、劣化した部材あるいは構造物の今後の劣化進行を抑制し、耐久性の回復・向上と第三者影響度の除去または低減を目的とした対策である。補修では、耐荷性の回復・向上は目的としていない。

2.補修工法の種類
補修工事は、構造物の劣化要因・劣化程度に応じた適切な補修工法や材料を選定して実施する。
補修工法の目的を以下に示す。

①ひび割れや剥離を修復し、内部鋼材やコンクリートの劣化を抑制
②塩化物イオンや中性化が進行した部材の除去
③有害物質の侵入を防止するための表面被覆
④コンクリート中の鋼材の不動態化
⑤コンクリートのアルカリ性の回復

主な補修工法を以下に示す。
ひび割れ補修工法(被覆工法、注入工法、充填工法)
断面修復工法
表面被覆工法
表面含浸工法
剥落防止工法
・電気化学的補修工法(電気防食工法脱塩工法再アルカリ工法電着工法

○補強
1.補強の定義
補強とは、部材あるいは構造物の耐荷性や剛性などの力学的な性能低下を回復または向上させることを目的とした対策である。力学的な性能低下は、材料の劣化や過大な荷重の負荷によって引き起こされる。

2.補強工法の種類
補強方法を以下に示す。

・コンクリート部材の交換(打換え工法)
・コンクリート断面の増加(増厚工法、コンクリート巻立て工法)
・部材の追加(縦桁増設工法)
・支持点の追加(支持点増設工法)
・補強材の追加(鋼板接着工法、FRP接着工法、鋼巻立て工法、FRP巻立て工法)
・損傷集中の回避(耐震スリット新設工法)
・地震入力の低減(免震工法)
・プレストレスの導入(外ケーブル工法)