コンクリート劣化の加速期【劣化が劣化を招く状態】

○加速期とは
加速期とは、劣化によるひび割れ進行し、劣化因子が直接鋼材に影響を与え始める段階である。
補修だけではなく、補強を検討する必要がある。

中性化の加速期
【加速期前期】
腐食ひび割れが発生。
【加速期後期】
腐食ひび割れの進展とともに、剥離・はく落が発生。
鋼材の断面欠損はまだ生じていない状態。

塩害の加速期
腐食ひび割れが発生し、腐食速度が増大する期間。
【加速期前期】
腐食ひび割れや浮きが発生。錆汁が見られる。
この状態では安全性や使用性はあまり低下していないため、補強まで行う必要はないが、補修が必要になる。
【加速期後期】
幅が大きく長いひび割れが多数発生する。腐食ひび割れの進展に伴うかぶりコンクリートの部分的な剥離・剥落が生じるが、鋼材の著しい断面減少は見られない状態。この状態以降は安全性や使用性が大きく低下を起こすため、補強を含めた検討が必要になる。また、構造物の重要度や周辺環境への影響を考え、供用制限も対策の候補となる。

アルカリシリカ反応の加速期
ASRによる膨張速度が最大を示す段階。
ひび割れが進展し、ひび割れの幅および密度が増大する。
また、鋼材腐食による錆汁が見られる場合もある。

凍害の加速期
スケーリング、微細ひび割れ、ポップアウトが進展する。
骨材の露出や剥落が発生する。
鉄筋付近までのひび割れ、浮き、剥落、脆弱化、激しいスケーリングが生じる。
深さ30mmほどまでの劣化。

化学的浸食の加速期
鋼材の腐食が進行する期間。
コンクリートのひび割れや断面欠損が著しく、鋼材が露出あるいは剥落している。

○材料の疲労の加速期
鋼材の疲労亀裂が「限界亀裂長」に近くなる。
一部が疲労破断に近い状態となり、耐荷性が低下する状態。

○鉄筋コンクリート床版の疲労の加速期
ひび割れの網細化が進み、ひび割れの開閉やひび割れのすり磨きが始まる段階。
ひび割れのスリット化や角落ちが生じるため、床版の押し抜きせん断力が急激に低下し始める。

風化・老化の加速期
腐食ひび割れ発生により、腐食速度が増大する期間。
表面近傍の強度低下によって新たなひび割れが発生し、溶出面が拡大。
流水による洗い効果が卓越して、保護層が消失する。