コンクリート劣化の進展期【劣化が見えるが構造的には大丈夫】

○進展期とは
進展期とは、劣化が発生して鋼材の劣化が始まる期間である。

中性化の進展期
外観上の変状が見られない。中性化残りが発錆限界未満。腐食が開始。

塩害の進展期
外観上の変状が見られない。腐食発生限界塩化物イオン濃度以上。
鋼材の腐食が開始している期間。

アルカリシリカ反応の進展期
水分とアルカリの供給下において膨張が継続的に進行し、ひび割れが発生するが鋼材腐食がない期間。
ひび割れが発生し、変色、アルカリシリカゲルの滲出が見られる。鋼材腐食による錆汁は見られない。

凍害の進展期
スケーリング、微細ひび割れ、ポップアウトが発生し、骨材が露出するまでの期間。
【進展期-1(軽度)】
表面に小さなひび割れ(幅0.3mmほどまで)
ポップアウト、スケーリング(深さ10mmほどまで)
【進展期-2(中度)】
ひび割れ幅が大きい(幅0.3mm以上)
スケーリング、剥離(深さ20mmほどまで)

化学的浸食の進展期
コンクリート保護層が劣化して、コンクリートに変状が見られ、その変状が鋼材に達するまでの期間。
保護層がない場合はコンクリート表面が荒れた状態。もしくはひび割れが見られる。

○材料の疲労の進展期
補強鋼材に初期亀裂が発生し、磁粉探傷などを用いることにより「初期亀裂」が観察できる。
亀裂進展の速度が、鋼材の材料組成に依存する状態。
鋼材の断面欠損は微小であり、耐荷性に対する影響はほとんどない状態。

○鉄筋コンクリート床版の疲労の進展期
主桁直角方向の曲げひび割れが進展する。
また、主桁方向にもひび割れが発生する。
格子状のひび割れ網が形成される段階。

風化・老化の進展期
pHの低下によって鋼材の腐食が開始してから、腐食ひび割れが発生するまでの期間。
表面近傍からC-S-H(カルシウムシリケート水和生成物)が熔解し始めるが、強度性能の低下は生じていない期間。