コンクリート劣化の潜伏期【劣化が外観上わからない】

○潜伏期とは
潜伏期とは、劣化が発生する環境ではあるが、外観上大きな変化が無く、構造的にも影響がない期間である。

中性化の潜伏期
外観上の変状が見られない。中性化残りが発錆限界以上。

塩害の潜伏期
外観上の変状が見られない。腐食発生限界塩化物イオン濃度以下。
鋼材の腐食が開始するまでの期間。

アルカリシリカ反応の潜伏期
アルカリシリカ反応そのものは進行するものの、膨張およびそれに伴うひび割れがまだ発生しない期間。
アルカリシリカ反応による膨張およびそれに伴うひび割れがまだ発生せず、外観上の変状が見られない。

凍害の潜伏期
凍結融解作用を受け、スケーリング、微細ひび割れ、ポップアウトが発生するまでの期間。
凍結融解作用を受けるが、外観上の変状が認められない。

化学的浸食の潜伏期
コンクリートに変状が見られるまでの期間。
保護層へ劣化因子が侵入しているが、外観の変状は見られない。

○材料の疲労の潜伏期
補強鋼材に繰り返し荷重により金属の結晶レベルですべりが生じているが、一般に観察可能な初期亀裂が発生する以前の状態。

○鉄筋コンクリート床版の疲労の潜伏期
床版においては、主桁直角方向に一方向ひび割れが数本発生している状態。

風化・老化の潜伏期
かぶり部分のpH低下が腐食発生限界までに達していない期間。
表面近傍のCH(水酸化カルシウム「Ca(OH)₂」)のみの溶出にとどまり、全域にわたって所定量のC-S-H(カルシウムシリケート水和生成物)が存在する期間。